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社会保障制度の改革に付いて

福祉国家スエーデンは高齢化社会に突入し、就労期間の長期化等社会保障制度全般の改革に取り組んでいます。OECDの発表では2008年迄の約20年間の格差拡大のスピードは主要国中最大です。財政の維持と経済発展を目指し、此の20年間に規制緩和、民営化、税金の引き下げ等激しく改革を実施して参りました。                                        1990年初めに我が国と同様にバブルが崩壊し、従来の社会や経済の仕組みが行き詰まり、通信や鉄道、航空の分野で規制を緩和し、医療や教育まで民間企業の参入を認めました。所得税の最高税率や法人税は大幅に引き下げ、相続税に到っては廃止し、優勝劣敗、弱肉強食の競争社会に突入していきました。然し、福祉国家として競争の結果の敗者を救済する目的で、無料の教育や手厚い子育て支援制度等は維持しています。其の結果GDPの7割も有った政府支出は5割台と減り、以前に比べ「小さな政府」になりました。そして、世界中が不況に喘ぐ中、90年代末以降同国の経済は極めて順調に推移致して居ります。金融危機を除けば3~4%の成長が続き、競争に敗れても福祉国家として弱者救済制度を備えた社会が安心感を生み、経済活動(消費活動)を支えているからとも云われています。ストックホルムの産業経済研究所は「スエーデンが上手く行ったのは自国従来のモデルを護ったからではない、大きく変えた結果だ」と云っています。経済を自由化し、税金を軽減したお陰で、企業を起こす地盤を醸成し、国民に働く意欲を起させた。だが、ラインフェルト首相は「スエーデン人が今の生活水準を維持するには、定年を更に延長し働く期間を75歳まで延ばさなければならない」と地元メディアに語っています。社会保険担当大臣クリスターソンは其の真意は「寿命の伸びが極めて急速であり其の環境に適応するには国民は長期間働く事を余儀なくされる」と高齢化社会での働き方を示唆しています。スエーデンでは90年代末に与野党の話し合いで年金制度を改革した。給料に占める保険料の割合を決め、其れ以上は徴収しない事と年金を一般予算から完全に切り離し、財源が足りなくなっても税金は注ぎ込まない事。之で高齢化に依る社会保障費の増加で国の借金を増やす事態は解消され、GDP比の政府債務残高は46%と先進国でも大変優れている国家になりました。然し、それは寿命が延びれば年金が自動的に減ることを意味する。それを避けるには長期間働くしかない。75歳発言は此の制度を作る為に出た言葉です。担当大臣は、涼しい顔で「どんどん長生きになれば、いずれ、此の儘では満足できる年金がもらえない事に気付くだろう」とも云っている。日本や他の欧州と比べても、スエーデンは社会が成熟している。論争は有っても、最後は話し合いで物事が決まる。 我が国では政権交替が有り、過半数を超える与党が誕生したが、先の政権が退場間際に当時の野党現在の政権与党と取り交わした「税と社会保障の一体改革」も未だ工程表さえ決まっていない。急速な高齢化社会では充分な社会保障を行う事は決して甘く無い事を国民は知るべきでしょう。(朝日新聞記事参照)


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