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福祉国家スエ-デン [福祉]

朝刊を見ていると次の様な文章に目が留まった。

63日朝日新聞朝刊のザ、コラム 有田哲文(編集委員)

スエ-デン  福祉国家のはずなのに

スエ-デンは行き届いた福祉国家として知られている。其の国が格差拡大に悩んでいる。経済協力開発機構(OECD)の発表に依れば2008年までの約20年間の格差拡大のスピードは、主要国中最大であった。現時点の格差は未だ日本やドイツよりも少ないが、スエ-デン社会にとってこの間の変化は激しかった。其の主な要因は、規制緩和、民営化、そして税金の引き下げだと云われています

1990年初め我が国と同様にバブルの崩壊が有り、従来の社会や経済の仕組みが行き詰まり、多くの手が打たれた。通信や鉄道、航空の分野で規制が緩和され、医療や教育で民間企業の参入が認められた。所得税の最高税率や法人税が大幅に下げられ、相続税に到っては廃止されてしまった。大学まで無料の教育や手厚い子育て支援等、福祉国家の根幹は勿論維持されてはいます。然し、国内総生産GDP7割も有った政府の支出は今や5割台、昔に比べれば「小さな政府」になりました。

世界中が不況に喘ぐ中、90年代末以降のスエ-デンの経済は極めて順調に推移しています。金融危機をのぞけば、3%や4%の成長が当たり前の様に続いています。福祉国家が安心感を生み、経済活動を支えているからとも云われて居ます。然し、ストックホルムのシンクタンク、産業経済研究所の見方は違う。「スエ-デンが上手く行ったのは我々のモデルを護ったからではない。其れを大きく変えた為だ。経済を自由化し、税金を軽くしたお陰だ。企業家を生み出す余地が出来、人々に働く意欲を起させた。最近、ラインフェルト首相は「スエ-デン人が今の生活水準を維持するには、定年を延長し、働く期間を75歳まで延ばさなければならないだろう」と地元メディアに語った。社会保険担当大臣として首相を支えるクリスターソン氏に真意を訪ねると。「首相の云おうとしたのは、寿命の伸びが極めて急速であり、其の環境に適応するには国民は長期間働かなければならない」と云う事だそうです

スエ-デンは90年代末、与野党の話し合いで年金制度を改革した。給料に占める保険料の割合を決め、其れ以上は取らない。年金を一般予算から完全に切り離し、財源が足りなくなっても税金は注ぎ込まない。之で高齢化が国の借金を増やす事は無くなり、GDP比の政府債務残高は46%と先進国でも優等生だ。しかし、それは、寿命が延びれば年金が自動的に減ることを意味する。それを避けるには長期間働くしかない。75歳発言は此の制度から出た言葉です。担当大臣は、涼しい顔で「どんどん長生きになれば、いずれ、此の儘では、満足できる年金がもらえないと云う事に気付くだろう」と.........

日本や他の欧州と比べても、スエ-デンは社会が成熟している。論争は有っても、最後は話し合いで物事が進む。我が国も捻じれ国会の最中、なかなか物事が先に進まない。究極まで来ている様だが、まだ結論が出ない。此の儘では政治は勿論、経済も文化も全てが長期低落傾向を辿り歯止めが懸らない。野田首相の云われる「税と社会保障の一体改革」の行方も思いやられる。急速な高齢化社会で充分な社会保障を行う事は決して甘く無いと云う事を知るべきである。


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